USCPAとTOEICと簿記と精神論

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USCPAの勉強を始めるか迷っています。

TOEIC○○点なんですが厳しいですか?

全く会計知識がありませんが簿記を取ってからの方がいいですか?』

 

…という感じの質問をまあ~~~たくさん頂きます。今まで個別にお返事していましたが、もしかすると他にも知りたい方がいるかも?と思い久々(約半年ぶり!)にブログを書きたいと思います。

 

※以下、すべて個人の意見であることをあらかじめご了承ください。

 

結論から申し上げます。

USCPAを取りたい!」と強く思うならTOEICも簿記も必要ないからUSCPAの予備校に申し込んでわき目もふらず勉強するほうがいい。

ただ、向き不向きはどうしてもある試験なので「転職したいけど資格もないしなんか欲しいな。…おっ!USCPAとかいうコスパよさげな資格あるじゃん!でも英語も会計も自信ないな」くらいに考えているのであれば、USCPA以前にそもそも会計系の資格が本当に自分に必要なのかをよく考えたほうがいい。それでも何か会計系の資格が欲しいというのであれば、簿記やBATICから始めて様子を見たほうがいい。

 

大前提として、両方USCPAとは全く別物の資格です。つまり「簿記を持ってる(会計知識がそこそこある)≠USCPAに受かる」だしTOEIC高得点≠USCPAに受かる」です。

最低限の英文(受動態や修飾文)が理解できるのであれば、あとは難しい単語や独特の言い回しを覚えれば「最初から最後まで何言ってるのかまるでわかりません!」ということはまずないです。難しい言葉も何度も触れるうちに慣れます。

それと簿記(ここでは2級とさせて下さい)の知識が活きるのは、FARとBEC原価計算くらいですし、FARだってあくまで”英語の簿記みたいなもの”なので新しく勉強しないといけないことがわんさかあります。つまり簿記を持っていても、大体は全く新しい勉強をしないといけないわけです。

 

簿記もTOEICもあるに越したことはないけど、英語や会計に対する抵抗を多少下げてくれる、くらいのものだと思います。

 

USCPAを取りたいのなら、USCPAの勉強をしないと意味がありません。

ですが、始めようと思ったらそれはそれで数十万の費用がかかります。「ちょっと試しに勉強してみるか。むいてなかったらやーめよ!」というわけにはなかなかいきません。私生活だって思った以上に犠牲にする必要があります。

だから、そういった大きな投資をするほど本当にUSCPAが必要なのか今一度ぜひお考えになって下さい。それでも必要だと思うなら簿記やTOEICではなくUSCPAの勉強を始めましょう。

まだ迷いがあるのなら、簿記やBATICなんかの勉強をして様子を見てからでも遅くないと思います。

 

ここからは、USCPA試験と英語や簿記以上に必要なものについて思うことをつらつら書きます。長いです。

TOEIC○○点ですが大丈夫ですか?簿記を勉強したことがないのですがついていけますか?という質問を頂く度にいつも「それで結局、貴方はUSCPAを取りたいの?取りたくないの?どっち?そもそもどうしてUSCPAに興味を持ったの?」と聞きたくてたまらなくなります。(ぼんやりと「取りたいな」と思っているからこそ質問して下さっているのだと勝手に解釈していますし、動機もお仕事関連か転職とか、何かしら現状を変えたいのだろうなとこちらも勝手に思ってはいるのですが…。)

 

TOEICも簿記もUSCPAに受かるためには必要ないと私は思うけど、向き不向きがある資格なのは間違いない。だけど勉強を始めるのだって数十万のお金がどうしてもかかるから「やっぱりむいてませんでした…」なんてなった日には目も当てられない。だから「私もできたから大丈夫ですよ」なんて言うのは怖いし、決して、安易に口にしないと決めています。

 

なので、思いの強さが知りたい。そうしないと、その方にそった言葉を送れないからです。せっかく相談して下さったのに。

 

どうしてもUSCPAになってやりたいことがあると思うなら、迷わずUSCPAの勉強を頑張りましょうと背中を押します。英語も会計もその他の知識も勉強すれば慣れるからです。諦めなければ絶対に理解できるようになります。強い気持ちがあれば、もし万が一努力が本番で報われないことがあっても、必ずまた心を奮い立たせることができます。

反面、色々とまだぼんやりしているなら、正直思いとどまったほうがいいです。「USCPAを取って○○をするんだ!」という”USCPAの先の目標”がないと苦しくて続かないから。ただ周りと差別化したいだけなら、USCPAはあまりコスパの良い資格ではありません。USCPAじゃなくたって他の選択肢もたくさんあるよ、と思います。

 

自論ですが、英語にも会計にも自信がない方がUSCPAの試験を突破するのに本当に必要なのは、英語力でも会計知識でもなく「ハンデがある分時間も労力も周囲以上に割かないといけない」という覚悟「何が何でもこの資格を取る」という心の強さだけです。

 

もっともっと乱暴な言い方をすると「自分のダメさに直面して心が折れても、また立ち上がれるかどうかだけが合否を分ける」と私は思います。

 

勉強していて“わからない”とか”できない”って本当につらいんですよ。英語が読めない。単語が理解できない。仕訳って何。ボックス図って何。財務諸表って何。資産と負債?連結?退職給付金??何度解いても間違える。覚えたはずなのに忘れてしまう…などなど。

どうしてTwitterにいる方たちみたいに勉強できないんだろう。私、なんでこんなに頭悪いのかな。もしかしてTOEICが900点あれば、簿記2級があれば、つまずくことなく苦しい思いもしないで済んだんじゃないかって何度も思いました。

 

だけど初めての分野の勉強ってわからないことだらけなのが普通でしょ?

 

「今まで勉強したことがないことを勉強する苦労をしてもUSCPAに受からないかもしれない恐怖」を「TOEIC高得点や簿記を持っていないからUSCPAに受からないかもしれない恐怖」にすり替えてはいけません。こんなこと言うと身もふたもないけど、今まで英語も会計もあまり勉強したことがないのであれば、TOEICだろうが簿記だろうが苦しい思いは必ずします。USCPAだって最初はみんなそうです。難しくて、辛くて、苦しいのは、TOEICの点が低いからでも会計の知識がないからでもなく、単に今まで馴染みのない分野を初めて勉強するからです。

 

USCPAになりたいならUSCPAの勉強をするしかない。英語ができなくても会計がわからなくても覚えたことをすぐ忘れちゃっても食らいついて勉強するしかない。周りが1で済んでも、自分に10の勉強が必要なら10勉強するしかないんです。

 

先ほども申し上げた通り、簿記もTOEICもあるに越したことはないです。間違いなくアドバンテージにはなります。だけどことUSCPA試験においては、それで合否が分かれるような大きな差ではないです。英語ができる人も、会計系のお仕事をバリバリこなしている人も、最初はたくさん躓いて、試行錯誤した末に今があるはずです。今までその方々がしてきた努力や苦労を、自分は今しなければならない。それだけのことだと思っています。

 

SNSや受験生のブログなんかでよく書かれていることだと思いますので皆様もよくご存じかもしれませんが、USCPAは巷で宣伝されるほど甘い資格ではありません。特に社会人受験生は”働きながら勉強する”という生活を長期にわたって続けないといけないわけです。

「仕事でうまく勉強がはかどらず、目標まで届かない」「環境が変わってしまって勉強時間が取れなくなってしまった」なんていうことはざらです。そもそも仕事の合間をぬって勉強をすること自体がかなり負担のはずです。私は仕事の後、何もしたくないもん(笑)

それだけでもしんどいのに、英語の壁が立ちはだかり、会計の壁が立ちはだかり、そのあともやれ監査論だファイナンスだ税法だと馴染みのない人には本当に馴染みのない分野の勉強が続くわけです。

 

USCPAの勉強を始めるかどうかは50万~100万の大金をはたいてでも、その苦労を買う覚悟があるかどうかにかかっています。

 

迷う気持ちも、不安な気持ちもとてもよくわかります。だから、まずはシンプルに「大金を払い、休みたい時間を勉強に当てる。苦労も多い。それでもUSCPAを取りたいのか?」だけよく考えて欲しいなと思います。それでもUSCPAを取りたいと思うなら、TOEICでも簿記でもなくUSCPAの勉強を始めましょう。

 

勉強を始められたら、辛いこともしんどい日もたくさんあると思います。その時は存分に息抜きしたり、愚痴ったりして下さいね。USCPA受験生のみなさんは本当に親切で親身になって下さる方が多いので、SNSなんかで交流するのもおすすめです。最近は勉強会やオフ会もたくさん企画されているので、気分転換に足を運んでみるのも◎だと思います。この悩みを抱えているのは自分だけじゃない、と思うだけで気持ちが楽になったりするものです。(私にDMを下さってももちろんOKです!)

 

私はUSCPA受験生の中心からはだいぶ外れたところにいるスペックの人間でしたが、四苦八苦しながら合格までこぎつけることができました。それは別に頭がいいからとか何か特別な勉強法を編み出したからとか、そんな魔法みたいなことはこれっぽっちもなく、ただただ愚直に勉強したからです。

"全科目1発で!"とか"半年で!"みたいな華々しさは全くないけど、こんな人間でも勉強すれば受かるんだということの証明はできたはずと自負しています。

迷われている方の自信に少しでも繋がれば嬉しいです。

 

 

 

 

USCPAを目指す皆様を、ずっとずっと、心から応援し続けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いっぱい書いたらすっきりした!笑

おしまい。